「歯と歯茎の間に隙間ができた」「咀嚼すると歯が痛い」といった歯のお悩みを抱えてはいませんか。
その症状は、もしかしたら歯周病が進行しているサインかもしれません。
歯周病とは、細菌の感染によって歯の周りに炎症が起き、歯茎や歯の下の骨が溶けてしまう病気のことです。
この記事では、手遅れになるかもしれない歯周病の症状や治療法をわかりやすく解説します。
健康的な歯を維持するためにも、しっかりチェックしておきましょう。
歯周病の症状が現れたら手遅れ?治療はできる?
以前まで歯周病は老化による病気だと考えられており、「歯周病になったら治らない」とされていました。
しかし現在では、適切な治療を行えば歯周病の症状は改善するということが明らかになっています。
早めに治療することで歯周病の進行を防ぎ、健康な状態を維持することができるのです。
ただし、症状が重症化している場合は改善が見込めません。
痩せた歯茎や溶けてしまった顎の骨を元通りにすることはできないので、歯周病を悪化させないことが何よりも大切なのです。
また、歯周病は放置しても絶対に治りません。
そのままにしていると歯が抜け落ちてしまう恐れもあります。
歯周病は自覚症状がなく、徐々に進行する病気です。
気づいたときには手遅れになっている可能性があるので、早めに対処することをおすすめします。
手遅れかもしれない歯周病の5つの症状
ここでは、手遅れかもしれない歯周病の症状を5つ紹介します。
手遅れになると抜歯しなければいけないので、以下の症状がある人は要注意ですよ。
噛むときに歯が動いてうまく噛めない
噛むときに歯が動いてうまく噛めないのなら、歯周病になっている可能性がかなり高いです。
歯が上下左右にグラつくということは、歯を支える土台である歯槽骨が失われている可能性があります。
そうなると当然、歯に十分な力が伝わらなくなるので、うまく物が噛めなくなるでしょう。
歯茎でどうにか歯がつながっている状態なので、近いうちに歯が抜け落ちてしまう可能性もあります。
歯並びが悪くなってきた
歯と歯の間に隙間ができたり歯が傾いたりするのは、骨が溶けているサインです。
歯並びが悪くなってきたのなら、あなたは既に歯周病かもしれません。
歯周病によって顎の骨が溶けてしまうと、咀嚼するたびに歯並びが悪くなったり、さらなる骨の減少につながったりする可能性があります。
場合によっては、歯の矯正が必要になることもあるでしょう。
噛むときに痛みを感じる
虫歯ではないのにも関わらず、噛むときに痛みを感じるのなら歯周病である可能性が高いです。
歯周病自体に痛みはほとんどありません。
しかし、歯周病の進行によって歯を支える顎の骨が溶けて弱くなっていくと、歯を支える力が弱くなり、食べ物を噛んだときに痛みを感じるようになるのです。
痛みを感じるということは歯周病がかなり進行しているということなので、早めに歯科医院に行ったほうがいいでしょう。
歯茎から膿が出る
歯茎から膿が出てきたら、手遅れかもしれない歯周病の症状です。
歯周病が進み顎の骨が溶けていくと、歯周ポケットが深くなります。
歯周ポケットが深くなるとそこに汚れが溜まり、歯周病菌が繁殖して歯茎の腫れや炎症が起こり、歯茎から膿が出てくるのです。
症状が進行すると、抜歯しなければいけない可能性が高くなるので注意しましょう。
口臭がきつくなった
歯周病が進み歯周ポケットが深くなると、そこに汚れが溜まりやすくなり口臭がきつくなります。
これは歯周病菌が溜まった食べカスや歯垢などを分解し、悪臭を放つ化合物を生成することが原因といわれています。
歯茎から膿が出ている場合、膿が発する臭いと混ざって、口臭がきつくなることもあるでしょう。
手遅れにならないための歯周病対策
歯周病は重症化すると改善が見込めません。
そのため、重症化する前にしっかりと歯周病対策をしておくことが肝心なのです。
ここでは、手遅れにならないための歯周病対策を解説します。
定期検診を受ける
歯周病になりたくないなら、歯科医院で定期検診を受けるようにしましょう。
歯周病は自覚症状がほとんどないので、自分ではなかなか判断できません。
定期検診では歯の健康状態を見ることができるので、早いうちに歯周病を見つけることができます。
また、歯科医院では歯石のケアもしてもらえます。
歯石が原因で細菌が入り込み、歯周病を進行させる恐れがあるので、早めに除去することが大切です。
異常がなくても、定期的に歯科医院に足を運ぶようにしましょう。
毎日きちんと歯を磨く
毎日きちんと歯を磨くことも歯周病対策には欠かせません。
しっかりと歯を磨いて、歯周病菌の餌になる食べカスを取り除くことができれば、歯周病になる確率をぐんと下げることができます。
また、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使うのも効果的です。
歯ブラシだけでは取り除けない食べカスをしっかり取り除くことができます。
毛先が開いた歯ブラシではうまく歯を磨けないので、大体1ヶ月くらいしたら歯ブラシは買い換えるようにしてください。
手遅れになった歯周病の治療法6選
最後に、手遅れになった歯周病の治療法を紹介します。
噛むと痛いときは「噛み合わせの調整」
噛むときに痛みを感じる場合は、噛み合わせの調整を行います。
噛み合わせが悪い部分を調整して、噛んだときの力が1ヶ所に集中しないようにする治療です。
噛み合わせが強いところは骨が緩みやすいだけでなく、歯周病にかかるリスクも高くなってしまいます。
噛み合わせの悪さをそのままにしておくと、ますます歯周病を悪化させてしまう恐れもあります。
噛むと歯が動くときは「歯の連結固定」
噛むと歯が動くときは、歯の連結固定を行います。
グラついた歯と正常な歯をワイヤーやボンドなどでつなげて、倒れないようにする治療です。
ただし、歯の連結固定は一時的な治療に過ぎません。
あくまでも応急処置的な治療であることは覚えておいてください。
歯並びが悪くなっているなら「矯正治療」
歯周病によって歯並びが悪くなっている場合は、矯正治療を行うことがあります。
ただし、歯周病菌が残ったままでの矯正治療には、大きなリスクがあります。
一般的に、まずは歯周治療を行い、そのあとに矯正治療を行うことになるでしょう。
また、歯周病がかなり進行している場合は骨が矯正に耐えられないので、治療できない可能性もあります。
奥深くの歯石を取るには「フラップ手術」
奥深くの歯石を取り除き、歯茎と歯を支える周りの骨を健康な状態にするためにフラップ手術を行う場合もあります。
フラップ手術とは、歯茎を切開し、深い歯周ポケット内の歯石や悪くなった歯茎を直接除去する治療です。
歯の根元までしっかり確認するので、確実に歯石を除去することができます。
他の歯に悪い影響がある歯は「抜歯」
歯周病の治療が難しい場合は、抜歯をすることがあります。
そのままにしておくと、歯周病菌が他の歯に影響する恐れがあるからです。
抜歯したあとは、入れ歯やインプラントを作る必要があります。
骨がほとんどないときは「再生療法や骨移植」
骨がほとんどないときは、再生療法を行うこともあります。
再生療法とは、悪い歯茎を除去し、骨毛欠損部へ歯周組織再生材料(骨補填材やエムドゲイン)を塗り、骨の再生を促す治療です。
また、骨が失われた部分に骨を移植する骨移植をすることもあります。
どちらの治療も、1本につき約50,000〜100,000円の費用がかかります。
まとめ
歯周病は放置していても絶対に治りません。
歯周病の症状を改善させるためには、適切な治療を受ける必要があるのです。
症状が重症化すると抜歯しなければいけない可能性もあるので、「歯茎が下がった気がする」「最近、歯がグラつく」といった症状がある人は、早めに歯科医院に足を運びましょう。
また、歯周病は自覚症状がほとんどない病気なので、定期的に検診を受けることも大切です。
しっかり歯周病対策をして、健康な歯を維持していきましょう。