【虫歯予防】新常識?!虫歯を予防する正しい方法を歯科医師が解説!

「毎日歯磨きをしっかりしているはずなのに、虫歯になってしまう」という経験は、誰しも一度はあるかもしれません。

歯磨きが虫歯予防の基本であることは周知の事実ですが、虫歯の発症には、実は歯磨き以外の要因も深く関わっています

この記事では、虫歯ができるメカニズムと、効果的な予防法について医学的な見地から解説します。

虫歯はなぜできる?

虫歯は、「ミュータンス菌」や「ラクトバチラス菌」といった細菌(虫歯菌)による感染症です。

これらの虫歯菌は、食べ物に含まれる糖分を栄養にしてネバネバとしたプラーク(歯垢)を作り出し、歯の表面に付着して増殖します。

虫歯菌は糖分を分解するときに酸を作り出し、この酸が歯の表面を溶かす「脱灰」を引き起こします。

これが「虫歯」と呼ばれる状態です。

唾液には、溶け出した歯を元に戻す「再石灰化」や、口内環境を酸性から中性に戻す「緩衝作用」という働きがあります。

通常、唾液の働きによって歯は修復されますが、細菌が増殖して酸が多く作られると歯の修復が追いつかず虫歯ができてしまうのです。

 

虫歯予防に大切なこと

ここからは、虫歯予防に大切なことや虫歯予防に効果的な方法を紹介します。

 

だらだら食べをなくす

口の中は何も食べていないときは中性(pH7程度)ですが、食事をすると飲食物の酸や虫歯菌が出す酸によって酸性に傾き、20〜30分程度で脱灰が始まります。

通常、唾液の働きによって歯は修正されますが、食事やおやつを食べる回数が多いと、口の中が慢性的に酸性になり、歯の修復が追いつかなくなってしまいます。

そのため、虫歯を予防するには、「食事の時間を決める」「間食は一回だけにする」などの対策をとり、だらだら食べをなくすことが大切です。

だらだら食べや間食をしていないつもりでも、飲み物やタブレットに砂糖が入っていて、予期せず糖分を摂取している場合もあるので注意しましょう。

 

唾液の分泌量を増やす

唾液には、緩衝作用や再石灰化の他にも、口の中を循環して食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流す自浄作用、細菌(虫歯菌)の増殖を抑える抗菌作用などがあります。

唾液の分泌量が少ないとこれらの働きが弱くなり、虫歯になりやすい口内環境になってしまいます。

唾液は、加齢やストレス、口呼吸、アルコールの過剰摂取、喫煙、薬の副作用、全身疾患などが要因となり分泌量が減少することがあります。

虫歯予防には唾液の分泌量を増やして循環させることが大切なので、以下のような方法で唾液の分泌を促しましょう。

  • 毎食時によく噛んで食べる
  • 食後にキシリトールガムを噛む
  • 口呼吸をせず、鼻呼吸をする
  • こまめに水分を補給する

 

フッ素を使う

虫歯予防には、フッ素の活用が効果的です。

フッ素は、歯の表面を強化し再石灰化を促進することで、虫歯の発生や進行を抑制します。

また、虫歯菌の活動を抑制する効果も期待できます。

市販のフッ素入り歯磨き粉や洗口液は日常的な口腔ケアに役立ちますが、歯科医院では、高濃度のフッ素を直接歯に塗布する処置が行われます。

高濃度フッ素は、市販品よりも高い虫歯予防効果が期待できるため、最適な虫歯予防のためには、歯科医院での定期的なフッ素塗布と、自宅でのフッ素製品の使用を組み合わせることが大切です。

 

正しい歯磨きをする

虫歯予防には、正しい歯磨きをして歯の表面に付着したプラーク(歯垢)をしっかりと落とすことが大切です。

歯磨きは、歯ブラシの毛先を歯の面や歯と歯ぐきの境目に当てて、毛先が広がらない程度の力で小刻みに動かし、1〜2本ずつ20回以上磨くのが基本です。

歯の表面にプラーク(歯垢)がついている状態が長時間続くと虫歯リスクが高まるため、食後や就寝前に丁寧に清掃しましょう。

ただし、歯磨きで除去できるプラーク(歯垢)は全体の6割程度です。

歯と歯の間や歯と歯茎の間は歯ブラシが届きにくいため、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、しっかりと落としましょう。

 

定期的に歯科医院でクリーニングを受ける

セルフケアだけでは、歯ブラシが届きにくい部分のプラーク(歯垢)や歯石を完全に除去することは困難です。

とくに、歯並びや噛み合わせに問題がある場合は、磨き残しが発生しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

歯の健康を守るには、自宅でのセルフケアとあわせて、歯科医院で定期的にクリーニングを受けることが大切です。

歯科医院のクリーニングは専用機器を使い、プラーク(歯垢)や歯石、着色汚れなど自宅では落としきれない汚れを取り除くことができます。

歯科医師が歯や歯ぐきの状態を確認するので、虫歯の早期発見・早期治療にもつながります。

さらに、口内環境や歯の状態に合わせて歯磨き方法や歯ブラシ、フロスの選び方などの指導も行うため、セルフケアの精度向上、モチベーションアップにもなります。

 

よくある質問

ここでは、虫歯に関するよくある質問と回答を紹介します。

 

食後すぐの歯磨きは良くないって本当?

ひと昔前は、食後は口の中が酸性になり歯のエナメル質が柔らかくなるため、食後すぐに歯磨きをすると歯を傷つける恐れがあるといわれていました。

しかし、現在は食後は早めにプラーク(歯垢)を取り除いて細菌の増殖を抑え、脱灰を防ぐことが重要とされています。

フッ素配合の歯磨剤には、歯の再石灰化を促し虫歯を防ぐ効果が期待できます。

そのため、食後30分以内であろうといつであろうと、食後は早めにフッ素配合の歯磨剤で歯磨きをすることがおすすめです。

 

歯磨きをしっかりしているのに虫歯ができやすいのはなぜ?

歯磨きをしていても、虫歯リスクの高い食生活を送っていれば虫歯になることがあります。

また、口の中の細菌バランスや唾液の分泌量、歯並び、歯質などが影響して虫歯のリスクが高まることもあります。

歯磨きだけでは虫歯は防ぎにくいため、食生活・生活習慣の改善と、歯科医院での定期検診・ブラッシング指導をあわせて行うのがおすすめです。

 

子供の頃から虫歯予防をするのはなぜ大切?

口の中には善玉菌と悪玉菌が存在し、悪玉菌が優勢になると虫歯や歯周病のリスクが高まります。

口の中の健康を保つためには、善玉菌と悪玉菌のバランスが重要です。

乳歯が生え揃う生後1歳7ヶ月から2歳7ヶ月頃は「感染の窓」と呼ばれ、この時期に口腔内細菌叢のパターンが形成されます。

この時期に口の中にどんな種類の菌が増えるかで、将来の虫歯や歯周病リスクが決まるため、幼少期から虫歯ケアをすることがとても大切なのです。

また、幼少期に虫歯があると、しっかり噛むことができず、消化不良や顎の発育不全、噛み合わせの問題につながる可能性もあります。

 

まとめ

虫歯は、歯の質口の中の細菌、そして砂糖などの糖分が組み合わさることで起こり、この3つの要素が揃っている時間が長くなるほど虫歯が発生しやすくなります。

生まれつき歯が弱い人もいますが、毎日の食事や歯磨きを少し工夫するだけで、虫歯リスクを減らすことができます

お口プラスでは、一生自分の歯で美味しく食事ができるように、患者さまの歯の健康をサポートしています。

虫歯はもちろん、噛み合わせ、歯並びなどお口についてのお悩みは、ぜひお気軽にご相談ください。